先日、遺言についての記事を書きました。
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おひとりさまは遺言書を書くべきか、悩んでいる人はいませんか? というより遺言書のことはまったく頭にない、という方もいるかもしれません。おひとりさまは遺言書を書かなくていいのか? 今日は「おひとりさまと遺言」をテーマに考えてみたいと思います。
- おひとりさまは遺言書を書かなくてよいと思っている人
- おひとりさまはどんなケースで遺言書を書いたらいいのか知りたい人
- 甥や姪に遺産を残したい人
- 遺言書を書いたらその通りになるのか知りたい人
おひとりさまで遺言が必要なケースは?
遺言は「どの財産を誰に」という点をはっきりさせる書面です。
相続人がおらず遺言書がない場合、遺産は国の財産になり、国庫に入ります。おひとりさまで遺言が必要なのは、
- 寄付したい場合
- 法定相続人ではない人(甥・姪や友人知人など)に残したい場合
- 法定相続以外の割合で相続させたい場合
このようなケースになります。ひとつずつ見ていきましょう。
おひとりさまで遺言が必要なケース:①寄付したい場合
遺言がなく相続人がいない場合は遺産は国庫に入ります。任意の団体へ寄付した場合や、「国のものにはしたくない!」という場合は、寄付先と金額を遺言書にして残しておく必要があります。
遺言で寄付をすることを遺贈寄付といいます。下記のようなサイトでは寄付先や遺言書の書き方について相談を受けることができますので参考までに。
日本財団 遺贈寄付サポートセンター https://izo-kifu.jp/
全国レガシーギフト協会 いぞう寄付の窓口 https://izoukifu.jp/
日本承継寄付協会では、2022年8月31日まで遺贈寄付をする人を対象に遺言書作成サービスを無料提供するキャンペーン(「フリーウィルズキャンペーン」)を実施中です。
日本承継寄付協会 フリーウィルズキャンペーン https://fwcjapan.izo.c-i.cfbx.jp/
おひとりさまで遺言が必要なケース:②法定相続人ではない人に残したい場合
遺言がない場合、法定相続人へ相続されます。配偶者や子は必ず法定相続人となり、その次に親がいる場合は親や祖父母(直系尊属)、その次に兄弟姉妹という優先順位となります。
たとえば、
- 法定相続人は子どもだが、兄弟にも相続させたい
- 甥・姪やいとこに相続させたい
- 世話になった友人・知人に遺産を残したい(遺贈)
このような場合、遺言書に書いておかないと希望の相手に相続や遺贈をすることができません。
子どもがいる場合、兄弟や親は法定相続人にならないため、遺言書で指定しておいた方がよいでしょう。
甥・姪についても、原則として法定相続人になりません。甥・姪が法定相続人になるのは、兄弟が法定相続人になる場合で、その兄弟がすでに亡くなっている時、その人の子ども(甥・姪)が代襲して相続することになります(代襲相続人)。
おひとりさまで遺言が必要なケース:③法定相続以外の割合で相続させたい場合
遺言書がない場合、法定相続人が
- 1人だけ→全てその人に相続される
- 複数いる→遺産協議分割(話し合って決める)
となります。遺産協議分割とは、話し合いで相続分を決めることです。法定相続分(法律で決められた相続の割合)が目安にはなりますが、必ずしも従うことはありません。
このしくみをふまえると、誰にどれぐらい残したいか、希望がある場合は遺言書に書き残しておく必要があります。実際の相続でのトラブルを軽減するためにも遺言書を残すことをおすすめします。
【図解】おひとりさまで遺書を書いた方がよい具体的事例
遺書を書いた方がよいケースを、おひとりさまの場合で具体例をあげてみますね。
相続人がおらず寄付したい人
身寄りがないおひとりさまの中には、寄付を考える人も多くいます。私も多くはないけれど寄付を考えています。寄付を考えている人もいくらどこに寄付するのか遺言書に書いておく必要があります。
甥・姪に相続させたい
おひとりさまに配偶者・両親・子供がおらず、兄弟姉妹がいる場合は、兄弟姉妹が相続人になります。その子ども(甥・姪)は法定相続人にならないので、甥や姪にも遺産を残したい場合、遺言書に書いておきましょう。
上記の例では、何もしなければ、遺産の100万円はすべておひとりさまの【妹】が相続し、【姪】への相続はゼロです。【姪】にも相続したい場合、「妹:60万円、姪:40万円」のように遺言書に残すことになります。
※兄弟姉妹、甥・姪への相続では、相続税が2割加算となりますので注意しましょう。
2人の子どものうちどちらかに多く相続させたい
子どもがいる場合、子どもが相続することになりますが、通常は均等に遺産を分けることになります。違う割合で相続させたい場合、遺言書に書き残すようにします。
上の例では、子ども2人が50万円ずつ相続するのが通常のケースですが、例えば娘さんがよく世話してくれたから多めに相続させたいという場合、「娘:60万円、息子:40万円」のように遺言書に残す必要があります。
遺言書を書いたらその通りになるの?
では、実際遺言書を書いたらその通りになるかというと、そうとも限りません。遺言書を書いてもその通りにならないケースとして
- 遺言書が無効の場合(例:自筆証書遺言で不備がある、など)
- 相続人全員で話し合いで合意した場合(遺産分割協議)
- 遺留分を侵害した場合
このようなパターンがあります。遺言書は個人の希望を示す公的な文書ではありますが、相続人の当事者間で話し合った結果、遺言書と違った内容で遺産分割されることもある、ということです。
とはいえ、希望がある場合は遺言書にそれを残しておくのがよいでしょう。折に触れて遺産の行き先について考えておくとよいと思います。
おひとりさまは遺言書を書くべき?まとめ
今日は「おひとりさまは遺言書を書いた方がいいの?」というテーマでお届けしました。
- おひとりさまが遺産を寄付したい場合、遺言書が必要
- おひとりさまが甥・姪や友人知人など、法定相続人以外に遺産を残したい場合は遺言書が必要
- 法定相続ではない割合で相続させたい場合は遺言書が必要
- 遺言書は公的な書面として取り扱われるが、相続人たちの話し合いでその通りにならないこともある
- 遺言書を書く時は「遺留分」に気をつけて
遺言書は、おひとりさまでも書いておくことをおすすめします。寄付したい人、姪や甥に相続させたい人は書いておいた方がよいです。相続人が複数いる場合は、最終的には相続人の話し合いで決まるため、遺言書通りにならない場合もありますが、それでも遺言書は書いておいた方がよいと思います。
おひとりさまの中には寄付を考えている人も多いかもしれません。私も少額ですが寄付したいので、寄付する団体を調べてみたいと思います。寄付先をあれこれ考えるのはちょっとまっとうな人間なような気がする・・・っておかしいでしょうか(^^;) 普段はなかなかできないので最後くらいは、という感じで気軽に考えています。