こんにちは。50代のsyuです。50代にまつわる年金トピックを調べて記事にしています。
前回は、年金保険料の未納がないか調べる方法を解説しました。
私syuは大学時代、3年弱の未納期間(国民年金)があります。免除、猶予等ではないかぎり、保険料の納付期限は2年なので、もう期限はとっくに過ぎています。
この未納分についてどう対処すべきなのでしょうか。60歳以降の年金保険料の支払いをどうするか、という点がポイントになります。
公的年金については、上記のいずれかが考えられます。個人的には任意加入制度か厚生年金を考えています。それぞれの加入条件を整理してみましょう。
タイプ | 条件 |
任意加入制度 | ・60歳以上65歳未満 ・20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満 ・厚生年金に加入していない など |
厚生年金 | ・所定労働日数の4分の3以上の勤務 など ・70歳まで |
今回は、国民年金の任意加入制度について深掘りしてみたいと思います。
そもそも国民年金とは
今さらながら、国民年金とはなんでしょうか。
国民年金とは制度の総称で、20歳から60歳まで保険料を納めると、65歳から老齢基礎年金がもらえる仕組みです。ただし、納付の合算期間が10年以上ないと受給できません。繰上げ・繰下げして受給時期を変更することも可能です。
老齢基礎年金以外にも、障害状態になったときにもらえる障害基礎年金、本人が亡くなった場合、遺族に支給される遺族基礎年金も、国民年金の制度です。厚生年金にも同様に老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金があり、それぞれ「基礎」「厚生」を付けて区別しています。ほかにも細かいルールがありますが、ざっくりと説明すると国民年金はこのような制度です。
会社などにお勤めすると厚生年金に加入しますが、自動的に国民年金制度にも加入しています。厚生年金制度は、国民年金+厚生年金の「2階建ての年金」と呼ばれています。
任意加入制度とは
国民年金制度のひとつに任意加入制度があります。国民年金は20歳から60歳までの20年間(max480ヶ月)にわたり保険料を支払うと、満額の老齢基礎年金がもらえますが、何らかの理由で納付期間が480ヶ月に満たない場合、60歳以降、65歳まで保険料を支払うことで、受け取る老齢基礎年金を増額させることができ、このしくみを任意加入制度といいます。
任意加入制度:注意点①納付できるのは60歳から65歳未満まで
任意加入制度が使えるのは、60歳から65歳未満までとなります。66歳以降は利用できません。
任意加入制度:注意点②max480ヶ月までしか納められない
国民年金の保険料支払いは、最大20年間(480ヶ月)です。任意加入制度は60歳から65歳未満の最大5年加入することが可能ですが、任意加入制度で納めた分を足して480ヶ月になると、それ以上納付することはできません。
→ 任意加入制度で納付できる月数は60歳から62歳の36ヶ月分
任意加入制度:注意点③厚生年金に加入している人は利用できない
任意加入制度は、厚生年金と重複して利用することはできません。60歳以降、任意加入制度か、厚生年金か、どちらかを選ぶ必要があります。
老齢基礎年金は一体いくらもらえる?-試算してみよう-
国民年金でもらえる老齢年金は「老齢基礎年金」です。厚生年金に加入すると「老齢基礎年金+老齢厚生年金」となりますが、ここでは「老齢基礎年金」に絞って試算してみたいと思います。
老齢基礎年金の満額
令和5年の老齢基礎年金の満額(年額)は79万5,000円です。※2023年(令和5年)現在
保険料をmaxで支払った(480ヶ月分)場合に受け取れる年金額のこと
老齢基礎年金を試算してみよう
老齢基礎年金は、満額に実際に納付した金額を按分して計算します。
出典:日本年金機構/老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html#cms03
簡単に試算するには、免除等の減算を除き、下記の式で算出できます。
老齢基礎年金の受給額シミュレーション(未納/納付済月数別)
国民年金の未納がある場合の老齢基礎年金の受給額を試算してみました。
未納月数 | 納付済月数 | 年金受給額(年) | 年金受給額(月) |
0 | 480 | 795,000 | 66,250 |
6 | 474 | 785,062 | 65,421 |
12 | 468 | 775,125 | 64,593 |
18 | 462 | 765,187 | 63,765 |
24 | 456 | 755,250 | 62,937 |
30 | 450 | 745,312 | 62,109 |
36 | 444 | 735,375 | 61,281 |
※2023年(令和5年)現在
ざっくりとですが、1年未納があると約2万円マイナスとなる計算です。3年の未納では約6万円。大学時代の未納がある場合、2~3年分の未納になるので、年額で約4~6万円、月額で約3000~5000円の減額となります。
任意加入制度を利用した場合のシミュレーション
では、任意加入制度を利用した場合、どの程度年金額を増やせるのでしょうか。下記の通り試算してみました。
未納月数 | 0 | 6 | 12 | 18 | 24 | 30 | 36 |
年金受給額(年) | 795,000 | 785,062 | 775,125 | 765,187 | 755,250 | 745,312 | 735,375 |
満額との差 | 0 | -9,938 | -19,875 | -29,813 | -39,750 | -49,688 | -59,625 |
任意加入納付額(総額) | 0 | 99,120 | 198,240 | 297,360 | 396,480 | 495,600 | 594,720 |
任意加入制度を利用した場合の増額分(年額・累計) | |||||||
65歳 | 0 | 9,938 | 19,875 | 29,813 | 39,750 | 49,688 | 59,625 |
70歳 | 0 | 59,628 | 119,250 | 178,878 | 238,500 | 298,128 | 357,750 |
75歳 | 0 | 109,318 | 218,625 | 327,943 | 437,250 | 546,568 | 655,875 |
80歳 | 0 | 159,008 | 318,000 | 477,008 | 636,000 | 795,008 | 954,000 |
クリーム色の部分が「未納月数」で、その下が年金受給額です。その下の赤字が満額795,000円との差額。
その下の青字が、未納分を任意加入制度で補填した場合の納入総額です。例えば、未納が半年(6ヶ月)の場合、保険料16,520円x6=99,120円となります。※2023年・令和5年時点の国民年金保険料:16,520円
表の下半分が「任意加入制度を利用した場合の増額分」です。任意加入制度を使うと太字の分だけ年額で増えるというイメージです。逆に、任意加入制度を使わなければその分年金が少なくなる、ということになります。
例えば、36ヶ月未納がある場合を見てみましょう。
任意加入制度による納付額は約60万円、70歳時点での年金増額分は累計で約36万円、80歳時点では累計で約95万円となります。
当然のことながら、任意加入制度を使って保険料を納入した方が、年をとるほど累計での需給額は増えます。老齢基礎年金をより多く受け取るためには有用な制度です。
ただし、任意加入制度は同時に厚生年金に加入できないため、60歳から65歳までの働き方も合わせてトータルで考慮する必要があります。
60歳以降もフルタイムでバリバリ働くという人は厚生年金に加入した方がお得な可能性もあります。60歳以降、働く予定がない、または厚生年金に加入するほど働かない、という人は、任意加入制度を検討してみるとよいでしょう。
国民年金任意加入制度についてまとめ
今日は、国民年金の制度についてあらためて整理し、任意加入制度について調べてみました。
- 任意加入制度は60歳から65歳まで国民年金の未納分を納めるしくみで、納付月数トータル480ヶ月になるまで納入可能。厚生年金との併用はできない。
- 任意加入で未納分1年分納めると、年額で約2万円の増額(令和5年時点)
- 国民年金未納がある場合、任意加入制度を使うと増額できるが、厚生年金に加入すると、任意加入制度より厚生年金の方が多く年金がもらえる可能性があるため比較検討が必要。
任意加入制度は、60歳からの働き方とも合わせて考える必要がありそうです。